第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
ティアナside
ディランが王位を放棄した。
――私のためだ。
本当に、それでいいのだろうか。
胸の奥がざわつく。
「ディラン……ほんとにいいの?」
「なにが?」
「アラン殿下が国王になるので」
「いいに決まってる。むしろ頼んだのは俺だしね」
あっさりと言うその声に、少しだけ肩の力が抜ける。
「そう……ですか」
「ティアナのおかげで兄ともちゃんと話せた。ありがとう」
そう言って、そっと頭を撫でてくる。
その優しさが、逆に胸に刺さる。
「そもそも、俺は王位に興味ないしな」
「それは知ってます」
「ならいいだろ? お互い、城でじっとしてるタイプじゃないし」
「……それも、そうですね」
思わず笑みがこぼれた。
ディランの言葉は、いつだって私の不安を軽くしてしまう。
その後、後片付けや処理がどんどん進められていく中で――
「ティアナ様、こちら確認いただけますか?」
「はい。では……ここは、こうでよろしいですか?」
「ええ、助かります」
「ティアナ嬢、これなんですが」
「オーウェン団長、お疲れ様です。見せてもらっても?
……あ、ここ計算が違っていますね」
「本当だ。ありがとうございます」
次々と人がやってきて、私はその都度対応していく。
気づけば、周囲の視線が集まっていた。
「なあ、ティアナ」
ディランが呆れたように声をかけてきた。
「なんです?」
「君は……何をしてる?」
「仕事です」
「なぜ?」
「暇だから?」
首を傾げると、ディランは深くため息をついた。
「はあ……君はほんと働き者だな」
困ったように笑うその顔が、どこか嬉しそうで。
胸の奥が、じんわりと温かくなる。
ディランが王位を放棄した。
――私のためだ。
本当に、それでいいのだろうか。
胸の奥がざわつく。
「ディラン……ほんとにいいの?」
「なにが?」
「アラン殿下が国王になるので」
「いいに決まってる。むしろ頼んだのは俺だしね」
あっさりと言うその声に、少しだけ肩の力が抜ける。
「そう……ですか」
「ティアナのおかげで兄ともちゃんと話せた。ありがとう」
そう言って、そっと頭を撫でてくる。
その優しさが、逆に胸に刺さる。
「そもそも、俺は王位に興味ないしな」
「それは知ってます」
「ならいいだろ? お互い、城でじっとしてるタイプじゃないし」
「……それも、そうですね」
思わず笑みがこぼれた。
ディランの言葉は、いつだって私の不安を軽くしてしまう。
その後、後片付けや処理がどんどん進められていく中で――
「ティアナ様、こちら確認いただけますか?」
「はい。では……ここは、こうでよろしいですか?」
「ええ、助かります」
「ティアナ嬢、これなんですが」
「オーウェン団長、お疲れ様です。見せてもらっても?
……あ、ここ計算が違っていますね」
「本当だ。ありがとうございます」
次々と人がやってきて、私はその都度対応していく。
気づけば、周囲の視線が集まっていた。
「なあ、ティアナ」
ディランが呆れたように声をかけてきた。
「なんです?」
「君は……何をしてる?」
「仕事です」
「なぜ?」
「暇だから?」
首を傾げると、ディランは深くため息をついた。
「はあ……君はほんと働き者だな」
困ったように笑うその顔が、どこか嬉しそうで。
胸の奥が、じんわりと温かくなる。