第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
「あの……本当に、その格好で行くんですか?」
セナが盛大なため息をつきながら言った。
「行くよ! バッチリでしょ!」
鏡に映るのは――私……いや、俺だ。
ルイの衣装に茶髪のウィッグ。
身長を底上げする厚底のシークレットブーツ。
冬用の厚手の服を重ねれば、体のラインも完全に隠れる。
「見た目は……まあ、悪くないですけど」
セナが渋々うなずく。
「よりによって、騎士団員として参加しなくても……」
「だって、せっかくだし参加したいじゃん!」
振り返って胸を張る。
「騎士団のレベル、実際に見てみたいし!」
「はぁぁ……」
セナは頭を抱えた。
「見た目は完全に男の子ですね!」
「確かに」
アレンとロベルトも感心したように言う。
「でも……」
今度のセナの声は、少しだけ真剣だった。
「魔宝剣を発動したら、即バレますよね?」
「まあ、その時は木剣使うでしょ」
軽く肩をすくめる。
「……使いそうになったら、逃げる!」
「計画が雑すぎます!」
セナが即座に突っ込んだ。
……でも。
胸の奥が、ほんの少し高鳴っていた。
危険なのは分かってる。
それでも――
この中に、答えがある気がしてならなかった。