【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?


 兄であり国王であるヴォルフは子供の頃エナメルと出会っており、すぐに求婚。成人を待って婚姻を結んだ経緯があり、弟に番が見つからないことを心配していた。

 フェンリルはというと、実のところ番の良さはわかっていなかった。

 自分がシルヴァの王位継承の妨げになるのは避けたい。だから臣籍降下の条件である婚姻を結ぶため番を見つけたい。

 そのくらいの心持ちだった。だがーー。

 彼女と出会った瞬間それが覆った。
 胸に溢れる幸福感はとどまることを知らない。
 触れたい、抱きしめたい、愛したい。
 守りたい、大切にしたい、一緒にいたい。

 彼女への気持ちは泉の如く湧き出て、自分のすべてを満たしていく。

「できるものなら、私だってそうしたいです。しかし.....」

 フェンリルは口籠もった。

「どうした」

「彼女は....鼻が効かないらしいんです」

「鼻が....?」

「はい。私のこともわかっていませんでした」

「.....うむ。番が認識できないなら、まずは好きになってもらう所からか....。下手に王族であることが知られたら逃げられるかも知れないと?」

 兄弟というのは通ずる所があるのか、それとも長年一緒にいるから相手を理解できるのか。いずれにしても兄は弟がすべて話す前に察していた。

「そうです。番だと認識できていればお互い惹かれ合うでしょう。でも現実、彼女は鼻が効かず私を認識していません。惹かれているのは.....私だけです」

「......うむ」

「王族という血筋を嫌がる女性もいると聞きます。確かに我々はただの貴族や国民とは違う立ち位置だ。婚姻を結ぶ女性が重圧や責任を感じてもおかしくない。もちろん結婚すれば私も家臣にくだりますし、私がいる限り口さがない者から全力で守ります。彼女がいうなら、そばを離れることの多くなる今の仕事をやめて他の仕事をしたっていいんです」

「おいおい。やめないでくれよ、団長がやめたら王国騎士団は要を失う」

 弟の思い詰めた様子に兄が慌てる。
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