獣人学校の月の姫
第4章 生徒会役員との出会い
着いたのはさっきの職員室とは比べ物にならないほどの大きくて豪華な扉。

一言で言うのであればすごい。


雷飛はそこを躊躇なく開けた。


「ただいまー。狼牙いる?」


狼牙…?誰のことだろう?


すると中から元気な声が聞こえた。


「おかえり、ライくん!ローくんなら奥の部屋じゃないかなぁ?」

「転入生連れてきたんだわ」

「え、転入生?僕、センセーから何も聞いてないよ?それにライくんが転入生を律儀に連れてくるなんて珍しいね。」

「うるせー。俺もそれぐらいはするわ。」


そんな会話をした後、雷飛は私の方を向いて入るように伝えた。

恐る恐る私は生徒会室へと足を踏み入れた。

中には赤髪の男の子と、眼鏡をかけた紺色の髪色の獣人がいた。

すると赤髪の獣人が振り返りながら私に話しかけた。


「キミが転入生?よろ………、え?」


なんだか、雷飛と出会ったときと同じような反応な気がした。

その後に続くのように眼鏡の獣人も私の方を見て驚いたような表情をした。


しかし、我に返ったのか急いで笑顔を造り話し始めた。


「あ、あの、自己紹介するね!僕は犬の獣人だよ!名前は犬頭魁斗(いぬがしら かいと)!生徒会では書記をやってるよ!」


その後に続くように横の眼鏡の獣人も自己紹介を始めた。


「俺は猫麻秘嘉瑠(ねこま ひかる)だ。分かっているかもしれないが、猫の獣人だ。よろしくな。」


そう言って自己紹介してくれた秘嘉瑠と魁斗。

今思ったけど、生徒会役員とは3人しか会っていないけど分かる。美形が多いんだなぁ…。

そんな呑気なことを思いつつ私も自己紹介しようとピシッと背筋を伸ばす。



「わ、私は兎美海空です!えっと、獣人じゃなくてただの人間です…。今日から転入してきて、手続きは生徒会でってことで来てます…。よろしくお願いします!」

「よろしくね、海空ちゃん!あ、新しいお菓子があるんだ!みんなでお菓子食べよー!」


そう言って霧嗚がお菓子を出してくれて、私たちはすっかり話し込んでしまった。


「ふふっ、魁斗の話ってとっても面白い!素敵な話ばっかりだね!」

「そうかなぁ?海空ちゃんがよく反応してくれているから僕も嬉しくなってくるよ!」


他愛もない会話をしていた時、生徒会室の扉が開いた。


「あれ、みんな揃ってる?ん…?あれ、知らない子がいる。」


入ってきたのはまたまた美形で、不思議そうに首を横にかしげていた。


「あ…、は、はじめまして…。兎美海空です…!て、転入の手続きでこちらにお邪魔してます…!」

目を見開いたその獣人。びっくりしてるのかな?


やっぱりみんな、私の名前を聞くと驚いたような顔をする。

急に顔を近づけてきたその獣人。

わけが分からずビクビクしていると、


「ねー、キーくん、海空ちゃんが怖がるからやめてー。」


そう言って私たちの間に入ってくれた魁斗。 


「キーくん、自己紹介したら?」


「あぁ、ごめんね。えーと、俺は狐の獣人だよ。名前は狐野霧嗚(こんの きりあ)。よろしくね。」



それに続くように雷飛も声を上げた。

「こん兄、お疲れ。どーだった?」

「うん、しっかり片付けてきたからもう手を出してくることはないんじゃないかな。それにしても、俺の相手にしては弱すぎだ。舐められたもんだな。」


なんの話をしているのか分からず、首を傾げていると後ろから声がした。


「あー!またパソコンバグっちゃった…!もー、これ直すのに結構かかるのにー!」


どうやら魁斗は画面が白くなってしまったパソコンのことを言っているらしく、相当直すのが面倒くさいのか少しいじけていた。


あの白い画面なら全然すぐに直すことができる。

でも、誰も直せないのか面倒くさそうに頭を掻いていた。

良くしてもらったお礼に、少しぐらいお手伝いしたい!そう思い、声をかけた。


「あ、私、直せるよ!直してみてもいい?」

「え、海空ちゃん、直せるの!?すごい!」


私は父の仕事を少しだけど手伝っていた。父は大手の企業に努めており、パソコンはなくてはならない存在だ。

そのときに、父の助けになればとパソコンを学んでいたことがここで役に立った。


私は覚えているとおりに画面をいじっていき、ついにホーム画面へと戻すことができた。


「すごい!海空ちゃん、ありがとう!」


すると次は雷飛のパソコンにも何かあったのか雷飛が声を上げた。


「あー、なぁ、秘嘉瑠!これどーやってまとめりゃいいんだ?」

「雷飛、ちょっと待って。今こっちの手が離せないんだ。」


どうやら、雷飛は何かをまとめようとしているらしく、そこで詰まっているようだ。


「わ、私でよければ手伝おうか…?」

「あ、マジ?んー、じゃあこれをまとめたいんだ。」


見せてくれたのは父の会社でも使っているソフトウェア。

すごい、こんな難しいものをまとめてるんだ…!


「えーと、これをこうして、こうでいい?」

「うおっ!すげー!ありがとうな、海空!」


お礼を言われて少し照れてしまった。


すると魁斗が、

「ねー、海空ちゃん!生徒会はいらない?」

「あー、いいじゃん、すげー助かる」

「俺はどっちでもいい。でも、いたら助かるな。」

「海空ちゃん、入ってくれるの?」


急な勧誘にさすがにびっくりした。


「え、私なんかが生徒会に入っていいの?しかも、今日が転入初日だし…!先生もきっと了承してくれないんじゃ…」


そうだ。楽しくてつい忘れていたけど、私はここに手続きをしに来ただけだ。きっと先生も転入初日の生徒を生徒会に入れることなんてしないだろう。


「んー、センセーたちはだいじょーぶだよ。この学校で一番権力を持ってるのは生徒会だからね。」


なんだか意味深な言葉に今日何度目かのびっくりが出た。

ど、どういうことだろう…。


「ねーねー、海空ちゃん、いい…?」


上目遣いで魁斗に見つめられて母性本能がくすぐられた。

うっ、今すぐいいよっていてあげたいけど…


その時





「うるさい、黙れないのかお前ら」








ものすごく低い声が聞こえた。


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