愛しい君へ〜君が振り向くその日まで〜
そして、その日の午後も大忙しだった。
やらなくてはいけないことが多過ぎて、気付けば定時をとっくに過ぎ、20時になろうとしていた。
ほとんどの社員が帰宅した後で静まり返る社内。
今日中に終わらせるのは無理だと判断したわたしは、仕事を次の日に持ち越して帰宅する事にした。
(今日は匡にご飯を作ってあげれそうもないなぁ。)
わたしはそんな事を思いながら、匡にメッセージを送った。
『残業で今帰り。今日はご飯作れないわ!』
そのメッセージの後にわたしは続けて"ごめん!"のスタンプを送った。
すると、匡からは『お疲れさん!こんな時間まで残業大変だな。』というメッセージと"了解!"のスタンプが返ってきた。
(今日はコンビニ弁当でも買って帰ろう。)
そう思い、コンビニに立ち寄ったわたしだったが、疲れ過ぎたせいかあまり食欲がなく、結局おにぎり一つと栄養ドリンクだけを買って帰宅した。
「はぁ〜······疲れたぁ。」
そう呟き、わたしは倒れ込むようにソファーに腰を落とす。
(疲れたなぁ······、明日もあの作業の続きをしなきゃいけないと思うと憂鬱······)
そう思いながら、栄養ドリンクでも飲もうかとレジ袋に手を入れた、その時···――――
突然、わたしの家のドアが開いたのだ。
(えっ?!)
わたしは驚き、ふと玄関の方を見る。
すると、玄関からゆっくりと姿を現したのは、何と藤崎社長だったのだ。
「ふ、藤崎社長?!」
わたしが驚きのあまり固まり、目を見開いていると、藤崎社長は怪しげな笑みを浮かべながら「お邪魔するよ。」と言い、部屋の中へ入って来た。
そして、驚くわたしを甘い瞳で見下ろし、「最終試験に来たよ。」と言った。
(···最終試験?)
わたしが何が何だか良く分からずに居ると、藤崎社長は突然わたしをお姫様抱っこし、寝室まで連れて行くと、ベッドへと押し倒してきた。
その行動に焦ったわたしは、慌ててベッドから下りて居間の方へ急いで逃げ出した。
「な、なな、何するんですか?!」
「だから、最終試験をしに来たと言ってるじゃないか。」
「何なんですか?!その···、最終試験って······」
わたしが恐る恐るそう訊くと、藤崎社長はわたしにゆっくりと歩み寄り、それから顔を寄せて来ると耳元でこう囁いた。
「身体の相性を確かめに来たんだよ。」