天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜
「バカにしないんですか?」

「言っただろ?俺は雫羽を信じるって」

 バカにされない。

「どんなことを思い出したんだ?話してみて。話すことで気持ちが楽になるかもしれない」

「前世の私を捨てた人が、私が亡くなる時に泣いていたんです。いなくなるなって……。そんな記憶、今までなかったのに。本当は、彼は……」

 涙が溢れる。

 透空さんは私の涙を拭ってくれた。

「その人は、ディヤのことを本当に心から愛していたのかもしれないな」
 
 透空さんの口から私の前世の名前が出るなんて。

「えっ?」

 透空さんは泣いている私よりも、なぜか切なそうな顔をしていた。

「ごめん。俺の発言が原因だよな。雫羽がいなくなることが怖いなんて言ったから」

 彼はティッシュを取ってくれ、涙をまた拭いてくれた。
 よしよしと頭を撫でられる。

 ここまで私を受け容れてくれたのは……。
 私の話を受け止めてくれたのは、透空さんがはじめて。

 子どもの頃、前世について両親に話をしたら、気味悪がられた。
 学校で友達に話をしても、バカにされたり、罵られてきた。
 誰も私の話なんか信じてくれなかったから。

 透空さんは、こんなに私を信じてくれて、求めてくれて。
 こんなに理解してくれる人、もう現れないと思う。

「透空さん!」

 私は自分から彼に抱きついた。
 思いっきり正面から彼の両肩に掴まり、飛びついてしまったため、透空さんを押し倒してしまうことになってしまったけれど。

「しず……は?」

 予想外の私の行動に彼は目を丸くしている。
 
 どうしよう、透空さんを押し倒しちゃった。
 だけど、どうしても今伝えたい言葉がある。

「透空さん。私のことを信じてくれてありがとうございます。理解もしてくれて、ありがとうございます」

 そして自分から彼の唇にチュッとキスをした。

 彼から離れようとしたら
「ダメ。離さない」
 そう言うと、起き上がりながら優しく唇を合わせてくれた。

 目と目が合う。
 その時は緊張とか何も感じなくて、ただ時間の流れを体験していたように思う。
 彼は私の髪の毛を撫でながらチュッとキスをしてくれた。
 
 唇が離れたと思えば、また重なって――。
 チュッと高温のリップ音が室内に何度も響く。

 透空さんのキスが優しくて、私からも身体を近づけ、求めてしまっていた。

「雫羽……。これ以上するとヤバいかも。理性、飛びそう」

 彼は私の耳元で苦しそうに囁く。

「透空さんなら……。良いです。優しくしてください」

 彼を解放するかのように私は自分からキスをして、舌を絡ませた。
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