まっすぐで、輝け。

STEP6

そして、とうとう球技大会本番。


一生懸命練習した。

ゆうやくんに持ってる気持ちを無くすためにも、がむしゃらに、練習に集中した。

その成果が出せるといいな。


そして、今日が終われば、私はゆうやくんとの接点は無くなる。本当に終われる。この気持ちとも。


結果で、ゆうやくんにお礼を伝えられたらいいな。



「よし、頑張るぞ!」

私は自分に自分で喝を入れた。




「あっ、ゆうやくーーん!」
女子たちが走っていく。
その先にはーーーーー


ユニフォーム姿のサッカー部。


そして、ゆうやくん。


青のユニフォームが最高に似合ってる。


心が勝手にときめいてしまう。

やだ。


見たくないのに、勝手に目が追ってしまう。


なんなの私…。辛いよ。


すると、ゆうやくんと目が…合ってしまった。


私はびっくりして戸惑っていたら、



ゆうやくんは、遠目でもわかるくらい優しく温かい目で笑っていた。



どきっ。



私も思わず頬が緩む。
そして、笑い返した。




うん。仲間として、信じてくれてる。
私も、仲間として、ちゃんとしなきゃね。


今日が終われば、この関係は無くなるのだから、後悔ないようにしよう。そう決めた。


ふーーーーっ。
よし。やるぞっ!






そして始まった球技大会。



第一試合目。


2年B組との対戦。

相手もサッカー部が4人もいる…。

キックオフ!!!



あれ!?…


開始早々

「やだーー」
「ボールこないでよーーー」
「おねがーい」

え。…

ぐだぐだすぎる…



おかげで相手はパスし放題。


「ラッキー」
「これは勝ちゲーだなー」

相手チームにそんなことを言われる。

そ、そんな。

とうやくんは、真面目にやってきたのに。
そんなのひどい。ひどいよ…!!



すると、私の近くにボールがくる。


すかさず奪う私。


「え!?」

拍子抜けする相手チーム。



私は、他の子みたいに逃げませんから!!と背中でアピールしながら。



あ、ボールは取れたけど…どこにパスしたら…。


周りはがっつりブロックされてる…。


あ、ゆうやくんはーーーーーーーーー

私は必死にゆうやくんを探す。



いつも勝手に目で追ってるでしょ!?
その感じですぐ見つけたいのにーーーーーー


すると



「パス!!!!!」




聞き馴染みのある声が聞こえた。




あ。




いた。ゆうやくんだ。






私は迷わなかった。




すかさずゆうやくんの指さす先へ、ボールを蹴る。






ボールが飛んでく。





その先で受け取ったのは





ゆうやくんだった。





そして、


「ワーーーーーーーー!!!」




シュートを決めた。




「ナイスシューート!!!!」




私は、しばらく動けなかった。

動けずにいたら、サッカー部の子が

「やるう!!!」
「誰よりも練習頑張ってたもんなー!!」

と褒めてくれた。




こんなに嬉しいことが、私に起きていいのだろうか。


遠くにいたはずのゆうやくんも、気づけば目の前にいて、




「ん」

と言って両手をパーにして私に向けてきた。




あ。ハイタッチ???

私がしていいの?わたしがーーー





そんなの考えてばかりじゃ、後悔が残っちゃう。



今だけは。


球技大会中は、私も自分の気持ちに素直でいよう。



私も両手を広げる。



ぱんっ!


勢いよくハイタッチ。

笑ったゆうやくんの顔。




私は、ゆうやくんが好きだ。


好きだから、ここまで頑張ってる。



それを球技大会で出し切るんだ。



終わった後のことは後で考えよう。

















試合に夢中だった。






そして、無事第一試合は


2-0で、勝利した。






続く第二試合、第三試合ともに、サッカー部の子たちのプレーが輝き、勝利を飾る。




そして、決勝戦まで勝ち進んだ。





決勝戦。



もうここまで来ると、クラス外の子の視線も集まる。

「あの子、サッカー経験ないのにめちゃくちゃ練習してたんだって」


「何あの子、すごくない??」
「アピールのために練習行ってるのかと思ったら本当に真面目にやってたんだ」
「ってか、なんか羨ましいよね」


「あんなに全力だと見てて気持ちいい」




女子たちの考えが少しずつ変わり始めてることは、この時の私は気づきもしなかった。


それぐらい、必死だった。


すると、
1人でストレッチをするゆうやくんを発見。


私は無意識に見つめてしまう。

ああ。この試合が終わったら、接点がなくなる。
本当に終わるんだ。


こんなふうに普通に話すことも、一緒にサッカーすることもなくなる。



よし。


声かけよう。





「ゆうやくん!!決勝だね!!」



「あ、黒澤さん!そうだね」




『……』



沈黙が流れる。



あーもっと話したい。話したいのに…





言葉が出ない。
体がまだここにいたいと言う。




今日で終わる。次の試合で終わってしまう。




頑張れ、頑張れ私!!力を振り絞ってーーーーー



「頑張るから!!!優勝しようね!!」




「おう」





私はゆうやくんの顔なんて見れず、立ち去る。


でも、やることは1つ。
試合を頑張るだけだ。






試合が始まる。



私の出る幕なんて無かった。


サッカー部の連携プレーが冴え渡った。


「ナイスシュート!」

「ナイスパス!」


サッカー部の本気を見たような気がして、私はゆうやくんたちが遠く感じた。



でも、それは今に始まったことじゃ無い。

はじめからそうだった。

たまたま球技大会サッカーになって、練習してたらたまたま声をかけられて…



すべて偶然なんだ。



そして、それはあくまで、球技大会優勝のために動いてくれただけ。



それを勘違いしてはならないとわかってたのに。

生まれた気持ちに見て見ぬふりをしようとしたのに、隠しきれなくなって。


それを発散する手段として、私も練習を頑張ることにしたのに。


頑張れば頑張るほど、苦しくて、苦しくて、余計に目で追ってしまっていた。





苦しすぎるから。
諦めよう。



ピピーーーーーーーっ。



「試合終了ーーーー!」


『わああああああっ!!』


勝った…


「ナイス!ゆうや!!!!」




私たちのクラスは、優勝した。

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