まっすぐで、輝け。

STEP7

球技大会が終わり、数日が経った。


日常に戻った。
いつものように、ゆうやくんの周りには、人、人、人。


私はそれを眺めてる。



これで、いいんだ。今持ってる叶わぬ好きも時間とともに忘れられる。そのはず。


ズキッ…。


心が痛む。


ああ。本気で好きなんだ。
忘れたいけど、忘れたくない。


はぁーーー。
苦しすぎる。




どうしたらいいんだろ……



ゆうやくんの周りには、女子たち。
みんな可愛くて羨ましい。



話しかけてていいな。
私も…。



いやいや。忘れるんだ!!!



そんなことを悶々1人で考えてたら、あっという間に下校時間。

授業中の方が、集中できることがあって、むしろ楽だった。



あーあ。

あーあ。

…。


ぼーっと歩いてたら、いつのまにか家とは反対方向へ。



そして、行き着いたのはーーーーーー



櫻公園。




2人で練習した場所。




男の子たちが、サッカーをしていた。


ゆうやくんも小さい頃はこんなんだったんかな。

想像するだけでかわいい…。



はぁーーー。

男の子たちのサッカーは加熱。


『見ろー僕のシューーート…!!』

『どこ蹴ってんだよ!あー!!!!!』



え。


ぼーっとしていた私に向かって、ボールが来る。



体が勝手に動く。


胸で受け止めて、男の子たちにパスをした。



「……」


あれ??


男の子たちは呆然としている。




そして
「すげーーーーーーっ!!!」



羨望の眼差しでこちらに駆け寄ってきた。



『何者!??』
『かっけーーー!!!』


「あ、え??」


私は戸惑いを隠せない。


『ねえ!一緒にサッカーしたい!!』


男の子からの一言。




え。


『あー?ダメだろー、そんな突然伝えたらー』


いいな。この男の子。
思ったこと、なんでも言えちゃう。


私もそうでありたいな。


「ううん!いいよ!私でよければ一緒にしよ!」


『え!!?いいの!?』

男の子の目がキラキラ輝いた。

この目、見たことあるかも。
誰の目だったのかは明白。


ゆうやくんの目にそっくりだった。



そして始まった少年たちとのサッカー。



楽しくて。楽しくて。



ゆうやくんのおかげで、サッカーの楽しさを知れた。



感謝でしかない。



今は、サッカーを楽しみたい。


サッカーをしてる時は、悶々せずに済んでる。


嬉しいな。




『おねーちゃんめっちゃ上手い!!』

『おねーちゃん、次こっちのチームになってよー』

『えーやだーーこっちいてよー』


か、か、かわいすぎる!!!

「え!あ、じゃあ、次はこっちのチーム入るね!」


嬉しい。自分を必要としてくれてる人がいるんだ。



「よーしおねえさん頑張っちゃうよ!」


そうはりきっていたら…








「じゃあ僕はこっちのチームに入ろーっと」







え。

この声はーーーーーーー


『あーーーーゆうや兄ちゃん!!!!今日はオフ!!?』

「そうだよ」



ゆうやくんだ。



「黒澤さん、めっちゃモテモテだな」

そう言って笑うゆうやくん。


一気に引き戻される。

「サッカー、やるからには負けねーよ」

好きな気持ちがまた大きくなる。
もう嫌なのに…こんな叶わぬ恋。




悶々してたら、ゆうやくんに話しかけられた。




「黒澤さん、どーせやるなら、何か賭けをしよ」



「え。何を…」



すると、真剣な顔になったゆうやくん。


ゆうやくんの顔が近づく。



う、動けない…。

どんどん近づく…。

思わず目をぎゅううっと閉じる。


「……試合、見にきてよ。」




右耳の近い距離で。

ゆうやくんの声。

え。え。


『あー、おにーちゃんイチャイチャしてるーーー』



「なんだよそれー、ほら行くぞー」


距離が離れる。

離れたのに、心臓がうるさい。
え。あっ…え???


『おねーちゃん、めっちゃ顔真っ赤〜』


「えっ!?」


男の子に指摘されてはずかしい。
そう思ってたら、

『おにーちゃんも真っ赤だぜーーー』


え。
恐る恐るゆうやくんの顔を見ると、本当に真っ赤。



私が見ているのに気づいたゆうやくんは

「なんだよ…」
「赤いのはもともとの体質だし…」
「で、どーするの?賭けるの??」



恥ずかしいけど、嬉しい。


私の答えは決まってる、

「賭ける」


そう伝えると、
ゆうやくんは一瞬ニッと笑って、
真剣な顔に戻った。

「負けねーよ」



「私も負けないです」


短い会話なのに、どこか居心地の良さを覚える。


それはきっと、私がゆうやくんを好きだから。

ゆうやくんに、この居心地の良さは感じられてないんだろうな。


でも、もう十分だ。
今のささやきと赤面のゆうやくんで、もう満足…


…。



満足なんて、してない。

もっと知りたい。



もっと仲良くなりたい。



「キックオフ!!」


試合が始まる。


ゆうやくんは、すぐにボールの主導権を握る。


私が奪いに行こうとすると、ゆうやくんはかわす。


ああ。
完全に遊ばれてる。



「ちょっ、あっ…」

私はボールを奪おうと足を出す。



でも、かわされる。



『ゆうやお兄ちゃん、シュートしてよーー』


「…。」

黙り込むゆうやくん。


私は、隙を探してボールをひたすら狙う。



「黒澤さん、そんなに、勝ちたいの?」


「え?」


突然悲しそうな顔になるゆうやくん。



え。え。
だって、だって…。



「何事も一生懸命やることが大事って、ゆうやくんが教えてくれたんだよ。」
「だから、この試合も、頑張りたいの。」

ゆうやくんが止まった。

足がゆるんだ。


あ、チャンスかも…



ボールを奪った…

「あっ、…」

ゆうやくんは反射で足を出す。


「えっ」


私とゆうやくんの足が引っかかる。

足が絡まるーーーー

「あっ、あぶないっ!!」




ドサッ。…



『おにーちゃんおねーちゃん!!』


男の子の声が聞こえる。

『あ、ボールとれー!!』


試合に夢中なようだ。




それ以上にーーーー


「はあっ、はあっ…」

ゆうやくんの息遣いが近い。


「怪我してない!??」



「う、うん…」



私はゆうやくんの胸に倒れ込んでしまった。


『よーし、僕のシューーーーート!!!』

男の子たちは、試合を続けている。



「ご、ごめん…!」


絡んだ足をゆるめようとすると、ゆうやくんが力を入れた。


「え」


「…」

黙るゆうやくん。



こんなの、やめてよ…。
期待しちゃう。
溢れちゃう。


言いたい。










もうこんな奇跡は訪れない。
後悔はしたくないんでしょ?私!







「ゆうやくん、好き…」











『よっしゃー〜ーーー!!お兄ちゃん、勝ったでーーーー!!!』

男の子が元気に叫ぶ。





え。
あ。
そうだ、試合中だった…!!


私、なんてことを…。



「あっ、私…試合戻ーーーーーー」




ぐいっ




引き寄せられる。






ちゅっ。






ゆうやくんの口が、私の口に重なる。





え。





「僕も……好き」
「球技大会終わっても、話したい」





え。
ゆ、ゆうやくんが私を好き…???




戸惑う私をよそに、ゆうやくんは立ち上がる。



「付き合ってください」




まっすぐで輝いた目が、私を見ている。


そんなの、こたえはきまってる。




「はい」





ゆうやくんの目が見開く。

「ほ、ほんとに!?」



「うん」





「よっし!!!!!」

最高の笑顔を見せてくれた。




私も思わず笑顔が溢れた。
< 7 / 7 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

好きなのは、気のせいだ。

総文字数/4,467

恋愛(純愛)4ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「これはこうやると、ほら、できた」 「あ…ありがとうございます」 何で、先輩は私が困ってるの分かっちゃうの…。 これは恋にしちゃいけない。 あくまで、信頼。 生徒会メンバーとしての。 恋しちゃダメなのに。なのに。なのに……。 私は、今日もこの気持ちに見て見ぬフリをしている。 宇田川羽美(うだがわ うみ) 生徒会役員 高校2年 自分よりも周り優先のやさしい女の子。 深く人と関わるのが怖い一面も。 × 源田和哉(げんだ かずや) 生徒会長 高校3年 成績優秀。 先生からも、クラスメイトからも愛される爽やかな男の子。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop