私のために泣いてくれた若年性がんサバイバーに救われた話

【私のために泣いた人】

イエリ
『ユノ先輩、お久しぶりです。』

かつて、ボーカルスクールでともに学んだ後輩のイエリから、久しぶりにメッセージが来た。

たわいない近況報告が盛り上がり、音声通話に切り替えた。

彼女はスクール卒業後、仕事で全国を飛び回っていて、帰省できるのは1年に1回。

声を聞けてよかった。

イエリ
『先輩、声に元気がないですよ?何かあったんですか?』

鋭い…。

私の元気な演技は俳優級だったはずなのに。

ユノ
「え…そう?仕事で疲れてるのかな?大丈夫だよ。」

イエリ
『本当…ですか…?!』

普段は穏やかなイエリが、急に詰め寄ってきた。

今までの私なら「大丈夫」を貫き通しただろう。

ずっと「弱さを見せることは恥ずかしい」と思い込んできたから。

けど、なぜか今回だけは…。

ユノ
「うーん…まぁ…ちょっとだけしんどいかな!あはははは!」

イエリ
『先輩…私、来週そっちに帰るので逢いましょう。時間は…。』

イエリが初めて強引さを見せたことに驚いた。

なし崩し的に、私の職場近くの川辺で逢うことになった。
< 1 / 7 >

この作品をシェア

pagetop