女神アフディーの初恋
 喧騒が遠ざかり、静寂が戻った教室。
 一人残された女教師は、西日に照らされた教壇の前に、彫像のように佇んでいました。

 彼女は知っていました。 アフディーがアロンに「会わなかった」のではない。
  二度と「会えなかった」のだということを。

 あの時アフディーはアロンと共に、いろいろな形の「愛」を知るのですが、それ以外にも強く抱いてしまった、罪深き感情を知るのです。

 それは「恋」でした。

 相手を思いやる「愛」に対し、女神として知ってはならない、見返りを求める「恋」を抱いてしまった……。アフディーはそのことに胸を苦しめたのです。

 初恋という名の罪を知り、アロンを求めるあまり、顔を合わせることができなかった。
 女教師は、そんな切ない微笑みを浮かべました。

 教卓の端から、見覚えのあるカタツムリが現れます。

 女教師はポケットから、あの孔雀の羽根を取り出し、愛おしそうに見つめました。

  足元には「食いしん坊のうさぎ」が寄り添うように近づきます。

 どこからか飛んできた「アオショウビン」が、女教師の肩に静かに止まりました。

  それは西日が差し込む、午後の教室での出来事でした。
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