女神アフディーの初恋
 ゼオスは老眼鏡を外すと、しばし考え込みました。それからもう一度その眼鏡をかけ直し、へローラの方へ「ハッピーニューイヤー」の文字を見せつけるように顔を向けたのです。

 へローラは無表情のまま、何も言わず、そっとその老眼鏡を外してあげました。
 自身の部屋に戻ったアフディー様は、たった一人、静かな部屋で考え耽ります。

「別に私が大人にならなくても」

 この時アフディー様は、こうお考えになったのです。人間界に降り数々の恋を実らせば、何も自身が大人になる必要は無いのでは無いのかと。実績をグイグイあげれば、誰も文句は言わないだろうと。

 はしゃぐ様な笑顔を取り戻すと、ベットの下から、大きなホタテを引き摺り出しました。
 それはスーツケースぐらいの大きさの「瞬間移動装置」でした。

「よし。早速人間界に行くとするか」

 アフディー様は目をつむり、小さく唱えました。

「ウホマイシラバスハレコ」

 すると巨大なホタテは、上蓋を開け、輝く光を放ちました。
 アフディー様はホタテに乗り込みます。

「うんしょ」

 ミルミル吸い込まれ粒になると、お姿ごとホタテも。部屋から消えていました。
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