女神アフディーの初恋

残念すぎる召喚獣たち

 アフディー様は見下す少年に怒りを覚えました。
 何か懲らしめる魔法とも考えましたが、実際それほど、驚かせるような魔法が使えず困っていました。しかしあることが、頭に浮かぶのです。

「これ少年。あまり女神を愚弄するものではないぞ、さもなければ、私を守護する召喚獣が容赦せぬぞ」

 少年は唾を飲みました。

「しょ、召喚獣なんて怖くないぞ」

 アフディー様は不敵に口元を歪めると、天を仰いで声をこだませました。

「いでよ。我が忠実なる召喚獣よ」

 少年はたまらず、怯えるようにぎゅっと目をつむりました。

 彼の頭の中では、三つの首を持つ地獄の番犬や、炎をまとって羽ばたく巨大な鳥が、今まさに大地を揺らして現れる光景が広がっています。

 アフディー様が天高く腕を突き上げると、草原の空気が一変……するかと思いきや、ぽかぽかとした陽だまりの中に、三つの影が頼りなく現れました。

 固く目をつむり、恐ろしい怪物の咆哮を覚悟していた少年でしたが、聞こえてきたのは「クピクピ」という鼻を鳴らす音と、羽ばたきの音だけでした。

 おそるおそる目を開けたアロンの前に整列していたのは、一心不乱に菜の花を咀嚼(そしゃく)し続ける「食いしん坊のうさぎ」おしゃれな肩掛けのポシェットを揺らしています。
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