百年前と百年後を生きる君へ
第一章
一生忘れられない夏
今も思い出す。あなたと過ごしたあの夏の日々を。
私たちの恋は決して叶うことはなかったけど、それでもどうしようもなくあなたのことが好きだった。
たとえ全てを捨ててでも、あなたの手を取りたかった。
「好きだ」と伝えることですら、私たちには許されなかったというのにね…。
*
朝の電車は、いつも同じ時間にやってくる。
私は毎朝、同じ電車に乗って学校へ通っている。
女学校の二年生になってから、父からは「遅れるな」と口うるさく言われるようになったけど、私はこの通学の時間が少し好きだった。
窓の外を流れていく街並みも、朝のひんやりとした心地よい空気も、まだ眠たそうな人たちの顔も、どこか静かで落ち着くから。
それに…。
手すりに寄りかかりながら、本に視線を落としているキリッとした顔立ちの男の子をチラリと盗み見る。
同じ車両の端でいつも本を読んでいる、黒い学生帽を被った隣の中学の男子生徒。
名前は知らないし、もちろん話したこともない。
知っていることは、彼もまた毎朝必ず同じ時間に同じ電車に乗っていることだけ。
そして私はなぜか毎朝、彼のことを無意識に探してしまう。
本を読む横顔が少しだけ真剣で、ページをめくる指先がとても静かで。
私たちの恋は決して叶うことはなかったけど、それでもどうしようもなくあなたのことが好きだった。
たとえ全てを捨ててでも、あなたの手を取りたかった。
「好きだ」と伝えることですら、私たちには許されなかったというのにね…。
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朝の電車は、いつも同じ時間にやってくる。
私は毎朝、同じ電車に乗って学校へ通っている。
女学校の二年生になってから、父からは「遅れるな」と口うるさく言われるようになったけど、私はこの通学の時間が少し好きだった。
窓の外を流れていく街並みも、朝のひんやりとした心地よい空気も、まだ眠たそうな人たちの顔も、どこか静かで落ち着くから。
それに…。
手すりに寄りかかりながら、本に視線を落としているキリッとした顔立ちの男の子をチラリと盗み見る。
同じ車両の端でいつも本を読んでいる、黒い学生帽を被った隣の中学の男子生徒。
名前は知らないし、もちろん話したこともない。
知っていることは、彼もまた毎朝必ず同じ時間に同じ電車に乗っていることだけ。
そして私はなぜか毎朝、彼のことを無意識に探してしまう。
本を読む横顔が少しだけ真剣で、ページをめくる指先がとても静かで。
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