百年前と百年後を生きる君へ
…そんなことを、私は気づかないふりをしている。

その朝も、いつものように電車は揺れていた。

私は膝の上に開いた本を読んでいると、不意に車両が大きく揺れて…。

ぱたり、と本が床に落ちた。

その瞬間、私より先に本を拾った手があった。


「どうぞ」


顔を上げるとそこにいたのは、いつも同じ電車に乗っているあの男の子だった。


「あの…?」

「あ、ありがとうございましゅ…!」


慌てて受け取るが、気持ちが焦ってしまいお礼の言葉を噛んでしまう。

恥ずかしくて真っ赤な顔を俯かせながら、拾ってもらった本をぎゅっと握りしめた。

きっと、間抜けな人だと思われたに違いない…。

けれど、彼は少しだけ笑って言った。


「俺も好きですよ、赤毛のアン」

「…え?」
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