【長編版】天才幼女セラフィーヌ、ツンデレ辺境伯様とただいま領地改革中!
 ◇◇◇◇

 その翌日。
 屋敷の応接室に入ってきた悪徳高利貸し・ゴルドンは、ふんぞり返って現れた。

 脂ぎった髪、下品な金のネックレスにごつい指輪。
 見るからに『金にモノをいわせて生きてます』という顔をしている――思いっきり偏見だけど。

 「相変わらずボロい屋敷だな……お、見ない顔だな?」

 私の隣りに座るレオンハルトを見て、ゴルドンは鼻で笑った。

 「随分綺麗な顔をしてるが、お嬢様の子守りかい?お坊ちゃんよ」

 レオンハルトは、成人を迎えてから長く軍務についていて、表舞台に出ることはほとんどなかった。
 それゆえに、顔を知らなくても無理はないのかもしれないが。

 (だからって命知らずすぎるわ……)

 辺境伯といえば国境一帯の防衛を担い、軍事権に絶大な権限を持つ大貴族。そんな相手に向かってこんな不遜な態度に出れるとは、無知とは恐ろしい。

 「俺はエーデルハイム辺境伯、レオンハルト・フォン・エーデルハイムだ」

 レオンハルトは微動だにせず、冷たい目でゴルドンを射抜いた。
 その瞬間、ゴルドンの顔色がさっと変わる。

 「エ、エーデルハイム辺境伯様……?冗談じゃ……」
 「冗談ではない。王宮より勅命を受けてヴェルナー家の後見を命じられた――この領地が存続に値するかどうか判断するためにな」

 ゴルドンは驚きすぎて声も出せないようだった。
 応接室の空気がシン…と静まり返る。

 私は、ここぞとばかりに幼女モードで首を傾げて見せた。

 「辺境伯さまがね?おうちのしゃっきんを、ゼロにしてくれるって言ってるの」
 「……!?ま、待て待て!ゼロってまさか……!」
 「そのまさかだ。この領地は王国直轄にして借金を白紙に戻す。その後、エーデルハイム領に統合する」

 レオンハルトの一言に、ゴルドンの顔は真っ青になった。

 (うん、してほしくないんだよね?知ってるよ~)

 作戦通りに進んでいることに、私は内心ほくそ笑む。

< 8 / 15 >

この作品をシェア

pagetop