死なないで
父が買ってきていた、1人分の夕食を海汰に食べさせながら、海汰の頭の傷の手当をした。

「痛い?」

「お兄ちゃんが、いたいいたい飛んでけしてくれたら痛くない」

海汰は笑って言った。

そっと海汰の頭を撫でた。

「痛いの痛いの飛んでけ」

隣の部屋から、父がすすり泣く声が聞こえた。

「お兄ちゃん、泣いてるの?」

僕も、泣いてしまったようだ。

海汰がそっと僕の頭を撫でた。

「泣かない、泣かない」

海汰は笑っていた。

海汰とお風呂に入って、そのまま同じ布団で眠った。

朝、目を開けると海汰がいなくなっていた。

「海汰?」

部屋を見回しても、海汰はいなかった。

急いで、リビングへ向かった。

でも、リビングへの扉を開けたくないと思った。

ドアノブにかけた手が震えた。

どうしても、その震えが止まらなかった。
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