死なないで

6

次の日、荷物をまとめて、駅へ向かった。

私たちの1週間の旅は終わった。

私たちは、より深くお互いを知ることができた。

前よりもずっと愛が深くなったと思う。

「あの」

駅へ向かう途中、背後から声をかけられた。

振り向くと、高校生くらいの女の子が立っていた。

「昨日、砂浜で海汰くんって言ってましたよね?それって松村海汰くんのことですか?」

咄嗟のことで声が出なくなった。

「そうです」

要が言った。

「知ってるんですか?海汰のこと?」

女の子は頷いた。

女の子の名前は、原田すみというらしい。

「どうぞ。入ってください」

すみちゃんに促されて、すみちゃんの家へあがらせてもらった。

「「お邪魔します」」

「そこに座ってください。お茶持ってきます」

私たちは、並んでソファに腰掛けた。

棚の上に、船の前で笑っている家族写真が飾られていた。

「それ、父がまだ元気だった頃の写真です」

すみちゃんがお茶を机の上に置きながら言った。

「家、ずっと漁師の家系だったんです。父も、ずっと船に乗って漁に行っていました。でも、もう漁に行けなくなりました。両足をなくしたんです」

あまりの衝撃に言葉を失った。

「両足?」

聞き間違いかと思い聞き返した。

「はい。事故でした。父の船にクルーザーが突っ込んできて。そのクルーザーを運転していたのが月村という男の人でした。その人は、すごくお金持ちで、色んなところにお金を積んで、今ものうのうと暮らしてるんです」

すみちゃんは泣いていた。

「私はあの人が許せない。父から両足を奪って、父の命でもあった漁を奪ったんです!」

私はすみちゃんの隣に座り、そっと抱きしめた。

「辛いね。そんなの許しちゃダメだよ」

すみちゃんが声を上げて泣き始めた。

「どうぞ」

要がすみちゃんにハンカチを差し出した。

「ごめんなさい」

すみちゃんはハンカチで涙を拭った。そしてまた話し始めた。
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