死なないで
2026年

要のお葬式が終わり、要の残したカレーを食べてもうするとこがなくなってしまった。

空腹を感じたけど何も口にはしなかった。

布団にくるまり、ただ息をするだけだ。

その時、ふと要が自殺した日に気にしていたニュースのことを思い出した。

ぼんやりとした記憶をたどってスマホで検索をかけてみた。

「死刑取り消し、裁判のやり直し」

画面に出た文字を声に出した。

泣きすぎたせいか、自分の声とは思えないほど嗄れていた。

裁判の日を見てみると、5月9日に行われると書かれていた。

今日は5月8日。

私は明日裁判に向かうことにした。


傍聴席には沢山の人がいた。

警察官に連れられて松村海汰が法廷に入ってきた。

どこか要に似ていると思った。

でも、そんなのはどうでもよかった。

私は、ただ何も考えず裁判の様子を見た。

裁判が始まって直ぐにお腹の膨らんだ女性が法廷に立った。

松村海汰は驚いたようにその女性を見つめていた。
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