忘れないまま恋をした
卒業式。人が少なくなったキャンパス。

四年前、私はここで泣いていた。“いない人”を探して。

今は――隣にいる人を、ちゃんと見ている。

「ありがとう」

不意に口から出た。

「何が?」

「四年、待ってくれて」

直哉は笑う。

「友達だろ?」

その距離が優しい。

でももう、ただの友達ではいられないことを、お互い知っている。

桜が舞う。

終わりじゃない。ここから、やっと始まる。
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