忘れないまま恋をした
内容を思い出して少しだけ笑う。

「手紙読みました」

誰に聞かせるでもなく言う。

「……ずるいっすよ」

思わず口から出た。

苦笑する。

「そんなの書かれたら」

少しだけ目を伏せる。

「俺、逃げられないじゃないですか」

線香の煙が揺れる。

直哉は空を見上げた。

青い空。

静かな空。
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