忘れないまま恋をした
最初の頃、病室は思っていたより普通だった。

白いベッド。
窓から見える空。
静かな廊下。

颯斗は点滴をしながら、いつも通りの顔で笑っていた。

「学校どう?」

「普通」

「その答え一番つまんないやつ」

からかわれて、少しだけ笑う。

机を借りて、私は宿題を広げた。

「数学がわかんないの、教えて」

そう言うと、颯斗は少し体を起こす。

「どれ」
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