忘れないまま恋をした
病室のベッドの横に椅子を置く。

それが、私の場所になった。

「奥さん」

看護師さんにそう呼ばれる。

その言葉が、くすぐったかった。

「なぁ」

颯斗が言う。

「ん?」

「結婚したの、後悔してない?」

私は笑った。

「してない」

「むしろ」

私は続ける。

「もっと早くすればよかった」

颯斗は小さく笑った。

でも、その目は少し赤かった。
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