忘れないまま恋をした
小学生の頃。

近所の空き地に、颯斗と秘密基地を作った。

段ボールと古い木の板を集めて、二人で屋根を作る。

「これ、俺らの基地な」

颯斗は得意げに言った。

「誰にも言うなよ」

私は大きく頷いた。

二人だけの秘密。

それが少し大人になったみたいで、ドキドキして、嬉しかった。

あの小さな空間が、世界の全部みたいだった。

でも、中学生になって久しぶりにそこへ行ったとき。

そこには、別の誰かの秘密基地ができていた。

当たり前みたいに続くと思っていたものが、少しずつ変わっていく。

そんなことを、初めて知った気がした。
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