忘れないまま恋をした
写真の中の颯斗は笑っている。

「わかってるんです。もういないって。
でも探しちゃうんです」

改札で。
大学で。
街のどこかで。

“忘れたくない”

涙が落ちる。

義母が言う。

「焦らなくていいの。柚ちゃんのペースで」

「私たちも受け入れてるふりをしてるだけ。あの子の分のご飯を一緒に作ったり、好物を買ってきたり。みんな少しずつ進んでるの。」

その言葉に、少しだけ息ができた。

悲しみは消えない。

でも、分け合える。

私はまだ止まったままだけど、

それでも。

約束は、まだ胸にある。
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