忘れないまま恋をした
「颯斗はね」

気づけば、話していた。

直哉に。

隣の家の人だったこと。
二歳上だったこと。
ずっと一緒だったこと。

病気のこと。

結婚のこと。

最後の夜のこと。

全部。

声は震えていた。

でも止まらなかった。

直哉は黙って聞いた。

口を挟まない。

慰めない。

同情もしない。

ただ、聞く。

涙が止まらなくなる。
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