忘れないまま恋をした


「まだ、奥さんのつもりなんだ」

最後にそう言った。

直哉は少しだけ息を吸って、

「それでいいと思うよ」

と言った。

否定しなかった。

奪おうともしなかった。

その優しさに、初めて――

“怖い”より先に、“あたたかい”が来た。
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