平恋う線
それでもその人のことを選んだのは…



「その人のことちゃんと、愛してるんでしょう…?」

「はっ、?!」



彼が紡ごうとした言葉は考えなかった。

わかりたくもなかったから考えなかった。

そしてその代わり、最後の呪いをかけるように唇をそっと重ねた。



「これは、例え話っていうか、もしも話なんだけどね…私、あなたのこと愛してたのかもしれないのよ?」

「…じゃあ俺も、例え話のもしも話…お前は、特別だったのかもしれねえわ」

「そう…」



もしもそうだったとしても、ちっとも嬉しいなんて思わなかった。

あなたにとっての特別はきっと、自分の物にしたいという執着心。

小さな子どもがもう使わないのにぬいぐるみを手放せないのと同じで…

私をぬいぐるみとしか、見てないのよ。

私が自分の物じゃなくなるのが面白くないだけなのだから。
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