冤罪で聖印を奪われた令嬢、辺境で本物の大聖女になる ~傲慢令嬢ヒストリアの救済証明~
「祝福の歌は、献身の歌です。困難に立ち向かい民の幸せと豊穣を願う、献身の心が必要なのです」
思えば王城で大聖女教育を受けていた時に指摘され、それが原因で余計に祝福の歌への抵抗感は強まったのだ。
祝福の歌はシルドバーニュでは”聖歌”と呼ばれているが、もともとは平民の子守歌というルーツがあるため、ヒストリアはこの歌があまり好きではなく、特に平民出身の王妃の直接の指導ともあって身が入っていなかった。
当時、七歳。
父親から惜しみない愛を享受し、ヒストリアの世界の中心は姉から父へと完全に移り舞い上がっていた頃だ。
「王妃様。平民に対して献身の心を向けろとおっしゃるのですか?」
平民など家畜だと豪語する父と異なる発言に対し、王妃が平民の間に生まれた子供だからだと推測したヒストリアは鼻で笑ったが相手は曲がりなりにも王族。
感情の読めない表情で、冷静に、そして威厳を持って𠮟りつけられた。
「そうです。あなたはまだ未熟。国を守ることは民を守ることと同義です。その行為に見返りを求めず安寧を願い、無色透明の澄んだ心で歌うことが献身だと思いなさい」
「赤子をあやすように平民をあやせということでしょうか」
「ヒストリア。私達にある力は周りよりも特別です。大聖女の使命を全うするためにも民を慈しむ気持ちを学びなさい」
「私達だなんて、一緒にしないでください。王妃様と私は格が違います」
言い返せどまったく相手にされない事に腹を立て、切り札を見つけ得意げに攻撃すれば、傍に控えていた神官の一人が顔を真っ赤にして怒鳴った。
「ヒストリア様!無礼ですぞ!」
あまりの気迫に肩が跳ねる。
「なっ、なによ。王妃様のように私は力を上手く使えないから、違うと言っただけよ!」
怒鳴られるなど今まで一度も経験したことのなかったため、流石に動揺したヒストリアは慌てて言い訳を並べ立てたがその場は気まずく視線を彷徨わせる。
王妃は怒鳴った神官をやんわりと窘め、ヒストリアに向き直ったが完全にやる気を削がれてしまい、嘘の体調不良を理由に予定より早く家に帰ることにした。この苦い記憶は今もしっかりと残っている。
連想するかのように、持て余す時間はヒストリアの過去の記憶を次々に思い出させていた。
思えば王城で大聖女教育を受けていた時に指摘され、それが原因で余計に祝福の歌への抵抗感は強まったのだ。
祝福の歌はシルドバーニュでは”聖歌”と呼ばれているが、もともとは平民の子守歌というルーツがあるため、ヒストリアはこの歌があまり好きではなく、特に平民出身の王妃の直接の指導ともあって身が入っていなかった。
当時、七歳。
父親から惜しみない愛を享受し、ヒストリアの世界の中心は姉から父へと完全に移り舞い上がっていた頃だ。
「王妃様。平民に対して献身の心を向けろとおっしゃるのですか?」
平民など家畜だと豪語する父と異なる発言に対し、王妃が平民の間に生まれた子供だからだと推測したヒストリアは鼻で笑ったが相手は曲がりなりにも王族。
感情の読めない表情で、冷静に、そして威厳を持って𠮟りつけられた。
「そうです。あなたはまだ未熟。国を守ることは民を守ることと同義です。その行為に見返りを求めず安寧を願い、無色透明の澄んだ心で歌うことが献身だと思いなさい」
「赤子をあやすように平民をあやせということでしょうか」
「ヒストリア。私達にある力は周りよりも特別です。大聖女の使命を全うするためにも民を慈しむ気持ちを学びなさい」
「私達だなんて、一緒にしないでください。王妃様と私は格が違います」
言い返せどまったく相手にされない事に腹を立て、切り札を見つけ得意げに攻撃すれば、傍に控えていた神官の一人が顔を真っ赤にして怒鳴った。
「ヒストリア様!無礼ですぞ!」
あまりの気迫に肩が跳ねる。
「なっ、なによ。王妃様のように私は力を上手く使えないから、違うと言っただけよ!」
怒鳴られるなど今まで一度も経験したことのなかったため、流石に動揺したヒストリアは慌てて言い訳を並べ立てたがその場は気まずく視線を彷徨わせる。
王妃は怒鳴った神官をやんわりと窘め、ヒストリアに向き直ったが完全にやる気を削がれてしまい、嘘の体調不良を理由に予定より早く家に帰ることにした。この苦い記憶は今もしっかりと残っている。
連想するかのように、持て余す時間はヒストリアの過去の記憶を次々に思い出させていた。