冤罪で聖印を奪われた令嬢、辺境で本物の大聖女になる ~傲慢令嬢ヒストリアの救済証明~
ヒストリアが大聖女と判明してからというもの、これまでフランドール家に仕えていた使用人たちに父は次々に暇を出し入れ替えを行った。総入れ替えといっても過言でなかったかもしれない。
若く美麗な者が多く採用され、フランドール家は母の息のかかった者が排除されて父の意のまま一新された。発言権のある親類といえば叔母ぐらいであったが、大聖女に選ばれたヒストリアをもつ父に対して多少の難色さえ示せど強く苦言を呈することはなかった。
母の代から長年家政婦長を務めていたというメルデが暇を出された時、エリザベートが隠れて泣き腫らしていたのをヒストリアは知っている。
いつも聞き分けの良い姉が、何度も父親にメルデだけでもフランドール家に残れるよう嘆願していたが却下され、別れ際にエリザベートは彼女に何かを手渡していた。
当然、メルデが恋しい姉が家政婦長に新しく雇われたウィラー夫人をすぐに受け入れられるはずはなく、快く思っていない様子がヒストリアの体感を以てしても感じ取れた。前家政婦長のメルデは公明正大な人物といわれていたが、ヒストリアにとっては緊張する相手。
一方、新任の家政婦長であるウィラー夫人は母親変わりのように親切に接してくれる物腰柔らかな人物。ヒストリアはすぐに好きになった。だから理解できなかったのだ。
見知った人物がいなくなることは寂しいが、悪い事ばかりではないのに、エリザベートが抵抗感を滲ませていたことに。


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