冤罪で聖印を奪われた令嬢、辺境で本物の大聖女になる ~傲慢令嬢ヒストリアの救済証明~

立場の逆転、聖印を得た少女は

聖女の頂きともいえる莫大な聖力の象徴とされる聖印。

五歳の誕生日にそれがヒストリアに宿った。

女神が次代の大聖女を見つけた時に現れるという聖印が、ヒストリアの身に宿る聖力を生み出す力に導かれて顕現したのだ。

全ての子女は三歳になると神殿で聖力の鑑定を受けることが義務付けられており、当時ヒストリアは強大な聖力を生み出す力を有しているが姉には及ばずといった判定を受けていた。

それなのにヒストリアは次代の大聖女に選ばれた。

その話は、今やシルドバーニュ王国では有名な話になっている。


ヒストリアを除き、国内随一の聖力を生み出す力を持っていたのはエリザベートだった。
しかし悲劇的にも聖力を内包することが出来ない体質で、蓋のない器から常に聖力が溢れているという。

これは母親譲りのものだった。

大聖女の資質を持ちながらも溜めることができない体質は、通常の聖女より少し聖力が多いだけの存在でしかない。

家系的に妹のヒストリアも同じ体質だろうと鑑定されていたが、成長と共に聖力を内包する力を獲得するという奇跡が起きていたのだ。


これはすなわち、ヒストリアはこれからシルドバーニュで最も愛され慈しまれる存在となることを意味する。

聖印出現の知らせを聞いた父ガストは、愛人のもとから邸宅に飛んで帰ってきては、その価値に感涙し手のひらを返したようにヒストリアを溺愛し始めた。

それも当然、大聖女は王家に迎えられるのだ。

王家には姉のエリザベートと同年の第一王子が居る。三歳差という、年齢的にも釣り合いがとれているので婚約に憂いはない。

父は女侯爵の後見人という立場から、一夜にして大聖女にして未来の王妃の父親という肩書きを得て有頂天になった。

そして、感極まったようにヒストリアを抱き上げた。


「えらいぞ、たいしたもんだヒストリア!」

この時まで一度も名を呼ばれず、抱き上げられたことなどなかったヒストリアは、親に注目される喜びを初めて知った。

そして五歳という幼さは、親の注目を二度と手放したくないと強く願ってしまったのだ。


そんな父の歪んだ愛情を素直に受け入れて喜ぶヒストリアの姿を、エリザベートがどんな目で見ていたかも知らずに。

< 8 / 131 >

この作品をシェア

pagetop