妊娠しましたが相手に婚約者がいました。今更私が本命? ご冗談を。
「そうだ、真夏ちゃんのお母様からプレゼントを預かってきたんだよ。真夏ちゃんのお母様って気品があって素敵な方だよね」

「母に会ったのね」

ライ君が暴力団と関係を持つ入り口に母がなった事は容易に想像できた。
名家のお嬢様として生まれた母は立ち居振る舞い一つで相手の信用を得てしまう。母は相手によって自分をどう見せるのが一番良いかを常に理解している。

「真夏ちゃんのお母様だからね」

真っ直ぐに私を見つめてくる彼から目を逸らし、風呂敷をとくと中から桐の箱が現れる。
心臓の鼓動が速くなる。母は本当にお育ちの良い人で、怒りを外には見せない。そっと相手が察するように遺憾の意を示してくる。

< 194 / 275 >

この作品をシェア

pagetop