妊娠しましたが相手に婚約者がいました。今更私が本命? ご冗談を。
父にとって女は所有物、つまり物でしかない。その中で特別な存在がいるとすれば私の母。私の母は狂っていて、最高に父の役に立つ女だ。残酷で賢くて自分以外の人間を人とは思っていない。

「源次郎さん。この子が愛娘の真夏ちゃん? 大人しそうな顔して男と逃げるなんて、流石は渚さんの娘」
媚びたようなねっとりした声で父の腕に絡みつく女が私を頭の先から足の先まで観察してくる。

冬城渚とは父の正妻におさまっている私の母。
母は代々続く名家のお嬢さんだったのに、奔放過ぎる問題児だった。「一度きりの人生楽しまなきゃ」が口癖で自ら極道の男の世界に入ったクレイジーな女。

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