忘れられない映画[1話]
言われたことが、すっと心の中に落ちる。

自分でも薄々気付いていた。
私は映画の見方が少しズレている。

はっきりと言葉にして言われたのは初めてだった。

「そんなに分析できるなら、自分で作ってみたらいいじゃん」

「むりだよ。だって、私…」

「観る専?」

遮るように言われ、思わず口を紡ぐ。

柊くんは私の様子を見て、もう一度「観る専ね」と呟く。
何かを考えるように左手で頬杖をつきながら視線をスクリーンの方に向けた。

その周辺では高梨先輩や数人の部員が感想を言い合っている。


「つーか、本当に作ったことない?」

「うん、ないよ」

「ふーん」

私は映画を観て、たくさんのアイデアや工夫を見つけるのが好き。
でも自分から生み出すなんて考えたこともなかった。

だけど、それが変わる瞬間は突然訪れる。





「…じゃあ、一緒に作る?」




部室の窓から、湿った風が吹き込み、髪が首筋にまとわりつく。

そんなジトジトした空気とは裏腹に、私の心にカラカラと爽やかな風が吹いた。




「俺と一緒に部内選考、参加しよう」




楽しそうに笑う柊くんを見たのは、入部してから初めてのことだった。

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