司くんに愛されすぎてる。
ええ、なんで怒ってるの?
怖いから和樹の腕の中でおとなしく縮こまっておく。
助けてくれたってことで、いいんだよね?
「あんたに関係ないだろ」
わ、ばか!
煽るようなこと言わないでよ、と目の前の人物に視線を向けると、そこにいたのは“司”くんだった。
またこの子か!
顔を見る猶予もなく抱きつかれたから誰だかわからなかった。
けど、そういえばこの人くらいか。
私を“かなちゃん”って呼ぶのは。
なんて1人で納得していると、真上の和樹の顔が苛立ちを抑えきれず険しくなった。
「2年をあんた呼ばわりって、礼儀がなってなさすぎる」
「すいませんねえ、先・輩。
さっさとかなちゃん返してくれます?」
「奏も先輩」
明らかに好戦的な“司”くんの態度に、冷静を装っていながらも私の肩を掴む和樹の手に力がこもる。
「ていうか!さっきから奏、奏ってこの人かなちゃんの何なわけ!?」
君も私のなんなわけ!?
…というツッコミは話がややこしくなりそうなのでさておき。私に飛んできた予想外の火の粉に一瞬たじろぐ。
とんがった目をした“司”くんと和樹の視線が、一斉に私に集まった。
「……え?えーと……クラスメイト、というか、友達?」
そう答えた瞬間、“司”くんは勝ち誇ったように鼻で笑う。