司くんに愛されすぎてる。

「ちょっ……くるし……」


抱きしめる、というより締め付けるに近い抱擁。


いま、一体何が起こったの!?


わからないけど。

隙間なく密着する身体の筋肉質な感触。
鼻先にくっついた首筋から香る清涼感のあるワックスの匂い。

それで、男子に抱きしめられてるのだけはわかった。


「会いたかった!かなちゃん……っ」


呼吸困難になりかけてる私に気付かず、ぎゅうっとさらに腕の力が強くなる。

目元を短い毛先がくすぐって、ぱちぱちと瞬きを繰り返す。



くるしい。けど、この苦しさ、なんか既視感。





『かなちゃんかなちゃんっ』




意識が遠くなるのと比例して、昨日モヤの中にいたちいさな男の子の解像度が一段階上がる。

ぼやりとその輪郭が見えてきた。




……でももう、限界っ


そう思った時、ぐいっと誰かに腕を引っ張られて、別の誰かの腕の中に収まった。



「奏が嫌がってるだろ」


森林みたいな清潔感のある匂い。穏やかなのに芯の通った声。

顔を見なくても、誰だかわかる。



和樹だ。


――しかも、最高にご機嫌ナナメの。


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