司くんに愛されすぎてる。

気分はそう、爆弾の起爆スイッチを押しているような感じ。


私の言葉に和樹はますます笑みを深める。


“司”くんはというと自信満々の笑みはどこへやら、雷に打たれたような顔をしている。



「――知らない人、らしいよ?
さっさと教室に戻ったら……」



蔑むような和樹の台詞が終わる前に、ものすごい勢いで前進してきた“司”くんが和樹の手を押しのけて私の肩を掴んだ。



「忘れちゃったの?かなちゃん。」



さっきの威勢のよさはどこへやら、しょんぼりと眉を垂らすその表情は捨てられた子犬のようで。


そんな顔しないでよ…



「……ごめんね、本当に何もわからないの」



なんだか罪悪感にチクチクと胸を刺されてそれ以上何も言えなくなってしまった。



「ひどいよっ
俺達婚約者なのに!」


「へっ?」

しかしこの瞬間彼の口から出たトンデモ発言にしんなりとした空気はどこへやら、私は俯いていた顔を勢い良くあげた。



婚約者…?

待って。待ってよ。

そんな話聞いたこともない。


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