ジュエル★バトル ~わたしが水晶の巫子!?~
 混乱していると、
「そうだ、テルさまの言う通りだ!」と、
 どこかから声が上がった。

「環、やめちまえ!」
「そうよ、やめた方がいい!」
「環くん、足を引っ張ってばかりだもの!」
「テルさまにしたがえ!」

 生徒のひとりが声を上げたら、ひとり、またひとり叫びだし……。
 声は大波のうねりのように、ホールへ広がっていく。

「や・め・ろ!」
「そうだそうだ! や・め・ろ!」

 嫌。怖い。
 なにこれ、みんな、どうしちゃったの⁉
 周りの生徒たちはみんな熱気につつまれ、
 環くんに向かって「やめろ」のコールをしだした。
 ドーム内に、声がビリビリと響きわたる。
 
 それを……、満足そうに、あのギラギラと輝く瞳で、テルは見ていた。
 うっすらと笑みを浮かべて。
 「やめろ」コールを受けた環くんは下をむいていたけれど……、
 いきなり、がばっと顔を上げた。

「はい、やめます」

 そう言った環くんの顔をみて、ゾッとした。
 表情が全部抜け落ちた、人形みたい。
「やめる」って言っても、くやしさとか、悲しさとか、申し訳なさとか……。
 そういうのが、全く感じられない。

「テルさまに、したがいます」

 環くんは機械的に宣言すると、テルの前にひざまずいた。
 わーっと周りから歓声が上がる。
 その異様な光景に、どくん、どくんとうるさいくらいにわたしの心臓が音を立てた。

「さあ、みんな、ひざまずけ! おれが今日から、おまえらの王だ!」

 テルがばっと手をふると、みんな、いっせいにひざをつく。
 ……わたしをのぞいて。それに気づいたテルの表情が、すっと冷たいものになる。

 怖い。わけがわからないよ。
 でも、言わなきゃ。これは、おかしいんだって、伝えなきゃ!

「テル! どうしちゃったの?」

 体も、言葉も、かたかたと震える。

「みんなも、ひざまずいちゃったりして、おかしいよ」

 生徒たちは、ひざをついて彫像のように固まって動かない。
 そんな中、テルはわたしに近づいてきた。
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