菅布禰タイガー
菅布禰太鼓の演目には、十程の曲があった。

“しめ”と呼ばれる小太鼓。
中太鼓数個、大太鼓1個からの編成。

初心者から習う、基本でベースとなるリズムがある。しめで叩く。

大太鼓は、ベースにもなるが大きな音で抑揚や迫力が増す。

中太鼓はメインであり、曲の調子を作るので重要なポジションである。

菅布禰タイガーはそこにいた。

中太鼓で、舞台センターに立つ。

太鼓の音は、鼓動に通ずるものがあるのか、人の琴線に訴えるものがある。

実際、プロの太鼓師たちがツアーを組んだりして全国を回ったりするのだから、日本人の心と言ってもよいのだろう。

太鼓のリズムは太古のリズム。

太鼓の打ち方は、武道に通ずるものがある。

全身運動で、足先から生まれた力はふくらはぎで増幅され太腿を通り、腰そして背筋を揺らし腕へと伝達、上腕下腕へ伝わり手首のスナップを介し、バチを叩きつけるのだ。

依って、打つ人によって音色は大きく変わる。

太鼓の性質上、革の振動が空気に共鳴して耳へと届く。

打つ速度や力加減で如何にもなる。

菅布禰タイガーのそれは、文字通り空気を裂く。

雰囲気と場を変える力があった。
< 5 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop