あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~
「まだかなぁ……」

 今日は話があると言って呼び出されたけれど、彼より私のほうが早く着いたらしい。
 アイスコーヒーを飲みながら五分ほど待っていると、紺色のシャツを羽織った康史が店内へ入ってきたのが見えた。
 いつもオシャレだなと思いながら軽く手を挙げて合図を送り、彼を笑顔で迎え入れたのだけれど……。
 どことなく彼の表情が暗いことに気がついた。なにかあったのだろうか。

「康史もコーヒーでいい?」

 目の前に座った彼へメニューを差し向けたのだが、彼は即座に首を横に振った。

「話をしたらすぐに帰る」
「……どうしたの?」

 彼の顔をうかがうと、無表情ながらもどこか思いつめているような感じがした。
 いつもやわらかく微笑む人なのに、今日はそれがないから不安になってしまう。

「凛音、俺と別れてくれ」

 突然、康史が冷淡にそう言い放ち、私の顔からも笑みが消えた。

「いきなり、なに? ……理由を言って」

 今日、別れ話をされるなんて思いもしなかった私は、一瞬で気が動転した。
 彼はこのことを伝えるために私を呼び出したのだ。そうわかった途端、指先が小刻みに震えて冷たくなっていく。

「君との未来より、現実を選ぶことにしたんだ」
「現実?」
「専務のひとり娘との縁談が持ち上がって、先週見合いをした。彼女と結婚する」
「え?!」
< 4 / 16 >

この作品をシェア

pagetop