チョコレートフォンデュ
「あいつ、うちが金持ちだから俺を好きなんだよ。俺の中身なんか気にしてないと思う。だって、普通に考えて男が浮気したら、女だけ責めるっておかしいだろ。あいつは、俺が別れるって言い出すのが恐いから、俺には何にも言わないんだよ。きっと。」


「そうかなぁ?金だけの為に?でも豊の事好きじゃなかったらいくらお金あっても一緒に居たいと思わないと思うけど。」


「杏は純粋だね。」


私に対する言葉が純粋なんて、かなりの違和感を感じた。
どこが純粋なんだろう・・。


「どこが?」

「そうゆう女なんて、いくらでも居るよ?金の為なら好きとか嫌いとか関係ないんだよ。だから俺の親父も若い子と浮気ができるわけ。」


冷めかけたパスタを見つめながら思った。

私には絶対にできないって。

遊びに行った男の子も色々で、確かにお金がある子もいればそうじゃない男の子も居た。それに、私自身が彼らに少しでも好意を持っていなかったら、私はご飯にすら行かなかったと思う。豊も一緒だ。金持ちだから、確かに楽になんでも手に入っている状況は正直未だに鼻につく。でも、会話が成り立つから、一緒に居て少しでも楽しいって思えるから私は豊と会っているんだと思う。
< 15 / 65 >

この作品をシェア

pagetop