世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 荒っぽい足音の後、玄関の鍵を開ける音がした。

 どうやら彼は家を出て行ったらしい。

 どうしよう。

 買われた立場のくせに、役目を果たすことさえできないと失望されたに違いない。

 いや、もともと期待もされていないのだから、単純に怒っているだけかもしれない。

『俺が今まで感情論で動いたことがあるか。利益にならないのなら即切り捨てる。当たり前だろう』

 ずいぶん前に聞いてしまった彼の冷たい言葉が、私を責めるように頭の中で響いた。



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