世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 服の裾を掴んだ手を再び払われた。

 立ち上がってベッドを降り立った蓮司さんを、反射的に見上げてしまう。

 なにか言わなければ。ちょっとしたミスなのだと弁明すれば、まだ許してもらえるかもしれない。

 でも焦りのせいでなんの言葉も思いつかなかった。早く、早くと不安ばかりが大きくなる。

 蓮司さんは私を感情のない目で見つめたまま、なにも言わずに背を向けた。

「待ってください! 蓮司さん!」

 追いすがるも遅く、ばたんと勢いよく寝室の扉が閉まる。

< 120 / 489 >

この作品をシェア

pagetop