世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 だから私はいつも、飲み会に誘われても断るか途中で帰ってばかりだった。それでも親しみを込めて接してくれる会社の人たちには感謝しかない。

「お疲れ様でした」

 まだ残るらしい社員に挨拶をし、会社を後にする。

 同じタイミングで帰る社員は意外に多かったようで、駅に向かう人影はひとつふたつではなかった。

 エントランスを出たところでふと足が止まる。

 なにやら道路のほうに、見覚えのあるフォルムの影が見えた。

 あのすらりとした長身を、私は知っている。

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