世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 少なくとも私は定時の話をした覚えがないから、彼が独自に調べたのだろう。

「今日は残業したので……」

 説明をしながら、おそるおそる蓮司さんを見上げた。

 一見するとシンプルなのに、布の質感と仕立てのよさがひと目で普通ではないとわかるブランドもののスーツ。肩から腰へ流れるラインには無駄がなく、スーツのほうが彼にかしずいて形を整えているんじゃないかと錯覚する。

 仕事帰りなのは明白だった。だとすると余計にわからない。

「急ぎの用でもありましたか?」

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