世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
「……高校の頃は十七時が門限でした。部活も許されなかったんです。あなたは勉強会でたまたま帰りが遅くなった時、不良だと頬を叩かれたことがないんでしょうね。九条家の娘にふさわしくない行動をするなと、何時間も怒鳴られたことも。好きなものは全部否定されて、バイトさえさせてもらえなかった。嫌いなことばかり増えるのに、好きなことは全部私から離れていくんです。友だちも選べと言われたんですよ。昨日までは仲良く話していたのに、両親が私に近づくなと直談判しに行ったせいで、誰も私に話しかけなくなりました。本当に嫌だった。本当につらかった……!」

 止まらなくなって畳みかけるように言い切り、肩で息をする。

 ずっと我慢していたものが溢れ出したせいで涙まで出そうになったけれど、こんなところでよりによってこの最低な男に泣いているところを見られたくはない。

「なにも……知らないくせに……」

 これ以上は本当に涙がこぼれてしまうと、痛いくらい唇を噛み締める。

 蓮司さんは私の叫びを聞いても表情ひとつ変えず、ただそっと手を伸ばしてきた。

「そんなに唇を噛むな。傷がつく」

< 141 / 489 >

この作品をシェア

pagetop