世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 長い指が唇に触れそうになり、咄嗟に身を引いた。

「私に触らないでください。あなたなんか大嫌いです」

 子どもっぽい言い方しかできないのが悔しい。今の私にはそれが精一杯だった。

 蓮司さんは冷ややかな目をして拒まれた自分の手を見ると、小さく息を吐いて言う。

「俺は、なにも禁止しない」

「……なんですか、急に」

「もし今まで許されなかったことで、やってみたいことをできるとしたら、なにをしてみたい?」

「だからなんなんですか? 今の話だって全部嘘だと思ってるくせに」

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