買われた花嫁
 悔しいことに、彼の落ち着いた低い声はかっかと火照っていた私の頭を冷やしてくれた。

 勢いを削がれ、ゆっくり深呼吸する。

「……CMでしか見たことがないんです。悪い人を倒すんですよね。ビームとか出して……」

「いろいろと知識が偏っていそうだな」

 蔑まれたのかと思って顔をしかめたけれど、どうやら違うようだった。

 彼は目を細めると、夜景のほうに顔を向けて言う。

「明日、行くか」

「……あなたと、私で?」

「そうだ」

「どうして?」

< 144 / 489 >

この作品をシェア

pagetop