買われた花嫁
 しかし、今の彼女は俺が抱いた印象とは噛み合わない。

 従順で模範的な令嬢なら、こんなふうに反発してこないだろう。

「で、行くのか。行かないのか」

「……行きます」

 俺を嫌いだという言葉に嘘はなさそうだ。

 今のところ、彼女がどの程度の嘘を俺についているのか判断しかねている。

「支度は何分で終わる? 三十分で充分か?」

「間に合わせます」

「わかった」

 彼女との会話は一般的な夫婦に比べると圧倒的に少ないが、いつも仕事のようだと思う。

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