世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 ふわ、と花がほころぶように彼女がうれしそうな笑みを浮かべた。

 今までに見たことのない顔が、なぜかまぶたの裏に焼きつく。

 ――どくんと大きく鼓動が跳ねた。

「映画鑑賞を趣味にしている奴は、仕事の終わりに映画館へ行くらしい。レイトショーがあるからな」

「このままだと私も……。あ、それは何時からでしょう……?」

「二十一時以降だろうと気にせず行けばいい。君はもう霧島家の人間だ」

 門限は関係ないのだと伝えると、彼女は戸惑ったように目をさまよわせてからはにかんだ。

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