世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 いい子だったわけではない。ふたりの顔色を窺いながら息をひそめて生きてきただけだ。

「蓮司さん。これを機に少し考え方を改めてもらいたい。名家の育ちでなければわからないだろうが……」

「家柄は九条家に劣るかもしれませんが、自分が間違っているとは思っていませんよ」

 そこはかとなく挑発的な気配に、もしかして両親の反応を見るためにわざと映画館の話を出したのかと訝しむ。

 でも今は蓮司さんの発言よりも、父の発言のほうが嫌だった。

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