買われた花嫁
 瓶の中の液体が、月光のような青白い蛍光灯を反射して揺れる。それを見つめる私の指先も、微かに震えていた。

 デスクの隅に置いたままのスマホには、先ほど私の夫である蓮司さんから連絡が届いている。

【今から迎えに行く】

 ただそれだけの一文だ。無機質なフォントで表示されたその言葉が、私の心臓を大きく波打たせていた。

 若くして業界の頂点に立ち、その冷徹なまでの決断力と圧倒的なカリスマ性から恐れられている男、それが霧島蓮司である。

 私を妻として〝買った〟男だ。

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